
病身をかこつ青年は
四十数年前 闇の中で歩むべき道を探りつづけていた
青年には設えられた道などなかった
一日々々が道だった
いつか青年は老いて
動けない体を車に委ねていた
車窓を擦過する山村の風景はかつて闇の中で見つづけたものだった
辟易していたはずなのに
変な和みになって身心を過ぎていく
青年は何げなく山頂から下っている細い岩肌を見つけた
水が何年もかかって岩を削りながら川に流れていく道だったのだ
水の道!
山頂に降りそそいだ雨が長時間かけて作り出した道
今 道は夕日に白く輝いている
青年の目も一瞬 輝いた
そして通過してきたあまたの苦労に
ちょっと微笑してみた
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