
穏やかに晴れたヒマラヤを尻目に
牛の親子がゆっくりと草を食んでいる子牛は寄りそって
親から刷り込みを受けている雄牛は徐ろに足をたたんで寝そべる
彼は舌で背中をなめる痛いのである
首も痒いらしいが舌が届かない
彼は偉そうに首を大きく振る察した雌牛が彼の首をなめてやる
ひたすらなめてやる
雄牛はいつしか眠ってしまう
雌牛はその横にゆっくり寝そべる夫婦の愛のサインを交わすように時おり尾を振る
子牛は少し離れてちょこなんと座っている
老人が通りかかり牛糞を拾い上げ
高々とかざして去って行く。
冬を脱ぎ出した中天の陽は
忘れてたあなたとの恋のようだ
<ネパール岸本スクールの生徒構成について>
ネパールの初等教育は5カ年
これが日本の小学校にあたり
その前に2年の初級課程があります
これは幼児教育にあたるといえるでしょう
就学年齢は一応定められていますが
家庭の事情によりばらつきがあり
したがって実態は同学年同年齢とはいきません
昨年は、政情不安から
初級課程の新入生受け入れをやむなく断念したこともあり
この5月に入学した子どもたち-初級課程は1年生のみになっています
現在の生徒数は計118名で、学年構成は以下の通り
初級課程 1年 19名
々 2年 -
初等科 1年 21名
々 2年 22名
々 3年 22名
々 4年 18名
々 5年 16名
この他に、長欠者及び離脱者26名を数えます
悲しいことに、折角入学してきても、家庭の事情などで
道半ばにしてやめていく子どもがあとを絶ちません
これもいまだ社会に根づく差別と貧困のなせるわざです

「PHOTOはフォトと読むでしょ。
Pは消されるの。
Pが可哀そうと思わない?」
あなたがアルバムを広げながら真剣に言う
そういうと言葉の中で消される文字は多くある
貧困の国で餓死していく子どもたちのように。
「きっとPは天からの文字だよ」
と 返したけど
愛の眼ざしを持つあなたが
また一つ
好きになる
皆様は日々新たな想いでご活躍のこととお喜び申し上げます。
ぼくは五月下旬ネパールから帰国し、秋にはまた赴く予定です。
現地は政局が少しは安定しつつありますが、六月に予定されていた新政府による総選挙は実施されず、いつ行うかの見通しも立っていません。一部の富裕層は生活を謳歌していますが、半分以上の人々は仕事がなく生活に追われています。それにしても若い人たちの多くが携帯電話を持っているのには驚きです。それは日本よりずっと高価で、機能もいっぱい付いています。国王が退いてから急速に普及しはじめました。
ここは益々ちぐはぐな国になっていくように思われます。そして、この山国にも激しい物流が渦巻いているのですが、春を飛び越えて夏が来たように暑い日がつづき、温暖化が叫ばれている世界に、不安を感じないわけにはいきません。
ネパールの人々の多くは殆ど仕事がありませんが、金のある親戚や知人を頼ったりして、やり繰りしているように思われます。自国に希望を見出せない彼らの多くは別天地へ出国すること-それはとても困難なことですが-に憧れ夢みているようです。とくに日本に対してその思いは強く、彼らはいまだにわが国のことを黄金の国のように思い描いているのです。しかし、なぜか金のある一握りの人たちが日本に来て不法滞在しているのも事実です。
ぼくは、世の中の人々が金儲けだけでなく一大奮起をしない限り、近未来において大変な事態になるように思えてなりません。人心の荒廃が加速している日本、ぜいたくな暮らしを希求してやまないネパールを目の当たりにしていると、ほんとに切なく悲しくなります。「それでも‥‥、私はリンゴの木を植える」と、心ある人々は懸命に≪明日≫を植えています。今までは地球を開拓する時代でした。これからは、人類が内に秘めている心を開拓し展開させる時代を迎えているのだと思います。二つの国に生きて、そのことを今、ぼくは痛切に感じています。ご支援を下さる皆様のお言葉からもそれを実感して、勇気を得ています。しかし支援の方々も、高齢も重なって少なくなり、ぼくの体も益々弱り重度になっていきます。でも差別や貧困を撥ね除けてしまう元気な子どもたちに真向かっていると、いま一歩、歩を進めたく決意を新たにするしだいです。皆様のより心強いご支援を切にお願い申し上げます。
2007年6月
兵庫県宝塚市の自宅にて 岸本康弘